温泉

2022-03-31

新たな発見があるかも? 温泉発見の物語「開湯伝説」とは

日本では、古来より多くの人々に愛されてきた温泉。長い歴史の中で、さまざまな温泉が新たに発見され、見出されてきました。
特に古い温泉地には、「開湯伝説」というお話が伝わっていることがしばしばあります。温泉が発見された経緯についての伝承が長い間伝えられてきているのです。
そこで今回は、日本の歴史ある温泉地に伝わる開湯伝説についてご紹介します。

開湯伝説とは?

開湯伝説とは、長い歴史を持つ温泉地に伝わる「温泉の発見にまつわる伝説・伝承」のことです。
古い温泉地の中には、発見された経緯についての史料等が残っており、詳細がわかるところもあります。

ですが開湯伝説は、そのような史実とはまた違う物語です。
歴史上の人物が見つけたと伝えられていたり、動物が発見したとされていたりと、ユニークな伝説が多数残されています。
また、開湯伝説にはいくつかの基本的なパターンが見られます。
今回は開湯伝説の主なパターン別に、どのような伝説が伝えられているのかをご紹介していきたいと思います。

神仏によって開かれる温泉地

神話上の人物による開湯伝説としては、大国主命と少彦名命によるものが多く伝えられています。
日本神話の神様による開湯伝説の多くは、仏教が日本に伝えられるよりも前からあり、特に長い歴史を持つ温泉地に見られます。

日本古来の神様が関係している開湯伝説については、仏教が広まってからも地元では神道への信仰が根強かったことを反映している。ともいわれているようです。
「夢枕に観音様や神様が立ち、お告げを受けて地面を掘ってみたら温泉が湧いた」というように、神仏のお告げがきっかけになったとされる開湯伝説もしばしば見られます。

動物が集まる温泉

「鶴の湯」「鹿の湯」というように、動物の名前が冠されている温泉では、ほとんどの場合その動物が発見したという開湯伝説になっています。
こういった開湯伝説に関しては、動物が実際に温泉の周りに集まっていたり怪我をした手足をお湯につけていたりするところを、地元の人々や猟師が発見したことが基になっていると言われています。

また一説には、温泉は野生の動物たちにとって大切な餌場になっていたのではないか、とされています。
温泉はさまざまなミネラル成分を豊富に含んでいるため、他の水場よりも周囲の環境が豊かになるケースがあるようです。
まずは小さな昆虫が集まり、そしてそれを餌とする小動物、さらに小動物を捕食する動物たち……というように、それぞれの動物にとって理想的な餌場となっていた可能性があるというのです。
たくさんの動物が自然に集まってくる場所はそうそうあるわけではないでしょうから、猟師をはじめとして地元の人々の目を惹くのもうなずけます。

温泉の豊かさには野生動物の方が、気が付きやすいことを考えると「動物が発見した」とされる開湯伝説は、ある意味ではもっとも史実を反映しているともいえるかもしれません。

高僧が発見した温泉

著名な僧侶、いわゆる「高僧」によって発見されたとされる温泉もたくさんあります。
なかでも行基や弘法大師空海、一遍上人、最澄、慈覚大師円仁などが有名で、特に行基と弘法大師空海は数多くの開湯伝説に登場します。

行基

行基は奈良時代の高僧で、全国を巡って仏教の布教を行うとともに、ため池、道路、橋などをつくり、多くの人々のためにインフラを整えた功績があることでも有名です。
東大寺にある大仏建立に際して、大僧正という最高位の僧になりました。
全国各地を旅していたことから、行基の開湯伝説も全国の温泉地に残されています。

特に著名なものは、石川県の山中温泉に伝わる開湯伝説です。
道中、空にたなびく紫雲を見つけた行基がそちらへ近づいてみたところ、見知らぬ老僧に出会います。
その老僧から病を治す効果のある霊泉が湧く場所を教えてもらい、湯治のできる温泉として開いたということです。
このとき行基が出会った老僧は、湯の精霊の化身ともいわれています。

弘法大師空海

遣唐使として海を越え唐へ渡り、再び日本へ帰国して後真言宗を開いたとして、日本では特に有名な高僧のひとりです。歴史にはあまり詳しくなくても、「弘法筆を選ばず」「弘法も筆の誤り」などのことわざを聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?
弘法大師空海は唐の都・長安で建築や土木、医薬知識などさまざまな技術について広く学んだといわれています。
帰国後にはそれらの知識を活かし、行基と同じように人々のため多くの土木事業に取り組んでいました。

弘法大師空海が関わる開湯伝説は、東日本を中心に数多く存在しています。なかでも有名なものは、静岡県の修善寺温泉にまつわるものです。
弘法大師空海が修善寺を訪れた際、近くにある桂川の水で病気の父のからだを洗っている少年と出会います。
そこで弘法大師空海が「川の水で洗ったのでは冷たいだろう」と独鈷杵で岩を砕くと、霊泉が湧き出たのだそうです。
この伝承に由来して、そのとき湧き出たとされる温泉は「独鈷の湯」と呼ばれるようになりました。

温泉の歴史や伝承について調べてみると新たな発見があるかも?

温泉の歴史や伝承について調べてみると新たな発見があるかも?
日本各地の歴史ある温泉地に伝わる「開湯伝説」についてご紹介しました。
普段何気なく利用している温泉ですが、あらためて調べてみると興味深い開湯伝説があるかもしれません。
長い歴史や伝承に思いを馳せながら、新しい視点で温泉を楽しんでみてはいかがでしょうか?

2020-12-22

温泉が「健康に良い」とされる理由とは?

古くから健康にいいとされている「温泉」。湯治や温泉療法といった言葉もある通り、温泉には昔から体調を整えたり、疲れを癒やしたりする効果があるとされ、多くの人々に親しまれてきました。
さほど意識していなくても、温泉旅行へ行くときには自然と「癒やし」や「疲労回復」を求めている方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、温泉が健康に良いとされる理由や期待できる効能など、温泉に関する気になる知識をご紹介します。

温泉が健康に良い理由とは?

「温泉はからだに良い」ということ自体は、日本はもとより世界的にも広く知られていることですが、具体的には次のような理由から温泉は健康増進の効果があるとされています。

お湯の温熱作用や水圧・浮力による「ほぐし効果」

温泉が健康にいい理由の一つには、温かいお湯に浸かることによる温熱作用や、からだにかかる水圧、水の中にいることで感じる浮力などにより筋肉の緊張がほぐれるとされていることが挙げられます。

温泉の成分が皮膚から吸収される

温泉のお湯に含まれる成分が皮膚を通して体に吸収され、温泉成分が体の各機能に影響して体調を整えてくれる効果があります。

非日常の場所で過ごすリラックス効果

温泉という日常から離れた特別な場所でリラックスすることによる「総合的生体調整作用」という効果も期待できるといいます。
総合的生体調整作用というのは、温泉地で過ごしたり、温泉に入ったりすることで受ける刺激によって、日々の生活の中で乱れていた体内のホルモンバランスや自律神経が整う作用のことです。こちらの詳しいメカニズムについてはまだわかっていないことも多いようですが、長期間湯治をしている方を対象とした調査では、実際に湯治を続ける中でホルモンバランスが整っていくという結果も出ているのだそうです。

日頃多くのストレスにさらされている現代人にとって、温泉はさまざまな面から身体を癒やし、体調を整えてくれるものなのですね。

温泉の種類によって期待できる効果も変化

温泉の種類によって期待できる効果も変化

温泉の定義の中には、「定められた規定量以上の化学成分を含むもの」という項目がありますが、その成分の種類については明確な決まりはありません。したがって、「温泉」とひとくちに言ってもその成分はさまざまなのです。
温泉成分を皮膚から吸収することによって得られる効果は、当然のことながらそれぞれの温泉の成分によって変わります。日本各地にある主な温泉の成分や泉質は次の10種類に分類されているので、期待している効果が得られそうなお好みの温泉を探してみてくださいね。

1.単純温泉

「単純温泉」とは、お湯の中に含まれる化学成分が一定量以下の温泉を指します。温泉成分が薄い分、体に対する刺激が少なく、優しい温泉であるといえるでしょう。これなら刺激に弱いお子様や年配の方でも安心して入浴できますね。
単純温泉については含まれる成分の種類が決まっていないので効能もさまざまですが、主に自律神経を整え、不眠症やうつ状態、冷え症、末梢循環障害、軽度の高血圧などを改善する効果が期待できるといわれています。

2.塩化物泉

「塩化物泉」は塩分を多く含み、保温効果が高いという特徴があります。期待できる効果としては切り傷や冷え症、末梢循環障害、うつ状態、皮膚乾燥症などが挙げられます。

3.炭酸水素塩泉

「炭酸水素塩泉」はアルカリ性のお湯で、お肌の角質を柔らかくし、お肌をすべすべにしてくれる効果があります。適応症としては切り傷や冷え症、末梢循環障害、皮膚乾燥症などが挙げられます。

4.硫酸塩泉

「硫酸塩泉」は保温効果が高く、傷を早く治す効果が期待できるほか、冷え症やうつ状態、末梢循環障害等などにも効果があるといわれています。

5.二酸化炭素泉

「二酸化炭素泉」はお湯の温度はぬるめですが、保温効果は高いという特徴があります。他の温泉に比べて血管拡張の効果が高いので、血圧を下げる効果、冷え症などへの効果が期待できます。

6.含鉄泉

「含鉄泉」は鉄を多く含み、からだへの刺激が強い泉質である点が特徴です。なるべく鉄が酸化しないよう、源泉に近い温泉が良いとされており、疲労回復などの効果が期待できます。

7.酸性泉

肌にしみるような強い刺激のある「酸性泉」は、アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬、表皮化膿症など、慢性的な皮膚病の治療などに利用されています。

8.含よう素泉

「含よう素泉」とは、ヨウ素と呼ばれる栄養素を含む温泉です。入浴するだけでなく飲むことでも健康に良い効果が期待できる温泉で、コレステロールを下げる効果があるといいます。疲労回復にも効果的です。

9.硫黄泉

「硫黄泉」は名前の通り、硫化水素ガス特有の匂いが特徴的な温泉です。刺激が強めのお湯で血管の拡張作用があります。また、殺菌作用があることでも知られており、アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症等にも効果が期待できます。

10.放射能泉

「放射能泉」はごく微量の放射能を含んでいる温泉で、ラジウム泉、ラドン温泉などの名前で呼ばれることもあります。微量の放射線を吸収することで細胞が刺激され、免疫力の向上や血流改善、疲労回復等の効果があるといわれています。

まとめ

温泉が健康に良いとされる理由や期待できる効能など、温泉に関する気になる知識をご紹介しました。
次回訪ねる温泉地を決める際は、立地や宿泊する旅館・ホテル等の雰囲気のほか、ご自身の体調と温泉の泉質も考慮してみてはいかがでしょうか?

2019-12-13

古事記の時代から続く! 日本の温泉の歴史

温泉は日本では長きにわたって人々に親しまれ、現在も温泉旅館などには多くの観光客が訪れています。
遥か昔から地球上に存在し、人類よりも長い歴史を持つ温泉ですが、現在のように人々から愛されるようになったのはいつ頃からなのかご存知でしょうか?

そこで今回は、古代から現代に至るまで日本人とともに歩んできた温泉の歴史についてご紹介します。

温泉に関する一番古い記述は古事記

温泉の歴史に関する一番古い記述は、日本で最も古い文献といわれている古事記や日本書紀に見られます。そのほかには、日本各地でそれぞれに編さんされた風土記にも温泉について書かれているそうです。

こうした文献の数々によれば、日本で最も古くからある温泉は愛媛県の道後温泉、和歌山県の白浜温泉、兵庫県の有馬温泉とされており、この3つをまとめて「日本三古湯」と呼んでいます。
また、島根県の玉造温泉も古くからある温泉として知られており、日本では遥か昔から各地の温泉が親しまれていたことが分かります。

日本の歴史とともに歩んできた温泉

それでは、ここでは温泉が現代に至るまで日本の人々とどのような歴史を歩んできたのかみていきましょう。

鎌倉時代以降の日本と温泉

鎌倉時代以降、武士の世になる頃には既に温泉は広く愛されていました。
特に熱海温泉や伊豆山温泉などは湯治の場として知られており、戦国時代のような戦乱の世になれば、全国各地の温泉地に傷ついた人々が怪我を癒やす場として訪れていたという記録が残っています。なかには、真田幸村や武田信玄といった有名な戦国武将ゆかりの湯もあります。

庶民にも温泉が浸透した江戸と明治

江戸時代に入ると、武士をはじめとした特権階級はもとより、庶民も温泉を楽しめるようになりました。お伊勢参りや金毘羅(こんぴら)参りの帰りに温泉地に宿泊したり、湯治願いを出して長いあいだ温泉旅館で過ごしたりと、町民や農民も温泉に入れるようになったのです。江戸時代中期には全国各地に100カ所ほどの温泉地があったという記録もあるほどです。
さらに、明治維新を経て開国し、外国の文化や知識を急速に身につけ発展していった日本では、温泉も湯治の場というよりは保養地としての側面が目立つようになっていきました。

昭和から現代へ、観光地として発展していく温泉

昭和初期になると、鉄道網の整備と合わせて旅行先としてますます各地の温泉地が発展しました。そして、戦後しばらくすると高度経済成長期に入り、景気の良さから旅行客も増え、温泉地は観光スポットとして確固たる地位を築くようになります。
また、温泉街が現在に近い景観になるのもこの頃からです。さらにバブル期になると高級な温泉宿も求められるようになり、設備や施設がどんどん豪華になっていきました。

そして、現代では多くの観光客で賑わう従来の温泉をはじめ、よりリラックスできることに重点を置いた施設や、美しい自然の風景も一緒に楽しむために作られた温泉など、さまざまな形のものが登場しています。

まとめ

まとめ
古代から現代に至るまでの温泉の歴史についてご紹介しました。
人類よりもずっと長い歴史を持つ温泉ですが、古代から日本の人々に親しまれていたことがお分かりいただけたのではないでしょうか?
旅行などで温泉を訪れた際は、今回ご紹介した日本とともに歩んできた温泉の歴史に思いを馳せつつもリラックスした贅沢な時間をお楽しみください。

2019-05-14

日本と海外(外国人)の温泉文化はどう違う?

世界的に見ても温泉が多い国である日本。
全国各地に温泉街や温泉旅館がたくさんあり、週末や長期休暇を利用して旅行に行くという方も多いと思います。
一方、ほかの国で温泉はどのように親しまれているのでしょうか? 今回は、日本と海外(外国人)の温泉文化の違いについてご紹介いたします。

日本人に古くから親しまれている温泉

「温泉」とは、温泉法に定められた自然発生のガスやお湯のことを指し、人工的に水を沸かすことによって作るお湯とは区別されています。

日本では、温泉というと入浴して疲労回復などの健康効果を得るほか、旅行先などで入る「贅沢なお風呂」というイメージが強いですよね。

温泉は、もともと旅の途中に立ち寄る宿で湯に浸かり、疲労を癒やすところから始まりましたが、現在では温泉旅館に泊まること自体を目的にした旅が定番となっています。近年は、国内外を問わず多くの観光客が日本の温泉旅館文化に親しんでいます。

また、温泉街では、一般的な銭湯のお湯にも温泉が使われているところもあり、日常的に入れる温泉として地元の人々にも愛されています。
こうして日本では古くから温泉文化が浸透し、老若男女問わず親しまれてきました。

日本とは違う? 海外の温泉文化

海外の温泉文化
海外では、温泉が湧く場所が観光地として親しまれている点は日本と共通していますが、日本とは違う形で温泉を楽しんでいる国が多く見られます。

特に欧米諸国においては、温泉はアウトドアで楽しむレジャーという考えが基本です。
自然の中で楽しむのが基本なので、温度が適切であれば湧いたお湯が貯まっている自然の状態を極力生かし、なるべく手を加えない状態で温泉に入るのが一般的です。日本で考えるお風呂というよりは池に近いものとして考えられているようです。

また、きちんと施設を作った上で温泉を使う場合でも、日本のようにゆったり浸かるというよりは水浴びをするという感覚が強く、プールのような形になることがほとんどです。
西洋人の水泳好きは日本人の温泉好きと同じくらい多いのだとか。温泉に入浴するのとはまた別の文化、別の楽しみ方だということがよくわかりますね。

海外では温泉はプール感覚?!

海外の温泉は温度が低いところも多く、ぬるま湯やほぼ水のような温度なこともあります。
ぬるいお湯や水をそのまま使うことを考えると、お風呂に入るというよりはプールで泳いだり水浴びを楽しむニュアンスが強いのも頷けます。

また、日本では基本的に裸で温泉に入り、タオルもお湯につけてはいけないとされていますが、海外では水着で入る習慣があります。
キリスト教的な観点から水着で入るのが基本とされたといわれていますが、プールのような感覚と考えると確かに水着の方がよい気もしますね。混浴であればなおさらです。

このように海外と日本の温泉文化の違いは、異なる環境や宗教などが影響しているのかもしれませんね。

まとめ

海外の温泉文化についてご紹介しました。
海外では、温泉はお風呂というよりプール感覚で親しまれていることに驚かれたのではないでしょうか?

旅館でゆっくりと温泉に浸かってリラックスするのもよいですが、海外のように水着を着ておもいっきり楽しむのも魅力的です。
海外旅行の際は、ぜひ現地の温泉にも訪れてみてくださいね。

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